事業を行う場合、自分で1年間の損益を計算して確定申告をしなければなりません。
事業による所得の確定申告方法には青色申告と白色申告があります。青色申告の方が税金面で有利とはよく言いますが、では具体的に何が違うのかみていきましょう。
青色申告と白色申告の大まかな違いは下表のようになります。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
帳簿つけ | 必要 | 義務無し(事業所得300万円以下の場合) |
事前の届出 | 必要 | 不要 |
確定申告時の作成書類 | 所得税青色申告決算書、確定申告書B | 収支内訳書、確定申告書B |
税金 | 税金を軽くする様々な特典が受けられる | 税務署の判断で推計課税が行われる場合がある |
白色申告には帳簿つけの義務がなく、確定申告時に作成する書類も青色申告と比べて簡単なものとなっています。
そのため、できるだけ手間をかけたくないという個人事業主の方は、白色申告を選択する場合が多いです。
ですが、白色申告でも当期の事業所得が300万円を超えると帳簿つけが必要になりますので注意が必要です。また、事業の会計状況をしっかり把握するためにも帳簿をつけることをおすすめします。
白色申告は帳簿をつける義務がない代わりに、必要経費や売上についての裏付けがないということになります。
そのため、税務署は白色申告者の申告内容に不審な点がある場合には、同業者等と比較して所得を推計し課税する権限があります。
青色申告の場合は帳簿の裏付けがあるため、白色申告よりも申告内容への信用度が高く、また帳簿を調査してからでなければ税額を修正されるようなこともありません。
青色申告には、「複式簿記」「簡易簿記」「現金式簡易簿記」の3種類があります。
これらの大まかな違いは下表のようになります。
複式簿記 | 簡易簿記 | 現金式簡易簿記 | |
---|---|---|---|
青色申告 特別控除額 |
65万円 | 10万円 | 10万円 |
事前の 届出書類 |
所得税の青色申告承認申請書 | 所得税の青色申告承認申請書 | 所得税の青色申告承認申請書現金主義の所得計算による旨の届出書 |
適用制限 | 特になし | 特になし | 前々期の事業所得および不動産所得が300万円以下の事業主のみ |
必要な帳簿 | 総勘定元帳、仕訳帳の他、必要に応じて現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳等 | 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳の「標準簡易帳簿」と呼ばれる5点 | 現金出納帳のみ(ただし、現金以外の取引が発生する場合は関連する帳簿も必要) |
記帳概念 | 発生主義 | 発生主義 | 現金主義 |
青色申告 決算書 |
一般用 | 一般用(ただし、4ページ「貸借対照表」は作成しなくてもよい) | 現金主義用(一般用より簡単) |
複式簿記は控除額が大きくなる分帳簿つけが大変そうに見えますが、一般的な会計ソフトを使って帳簿をつける場合、簡易簿記で作成する帳簿に入力するだけで自動的に複式簿記に必要な帳簿も作成してくれます。
また、青色申告決算書への入力も自動的にやってくれるソフトもありますので簡易簿記を選ぶメリットはほとんどありません。
所得が少なく、ほとんど現金での取引のみという場合は現金式簡易簿記を選択してもよいですが、貸倒引当金等が経費にできない等のデメリットもあり、さらに後々所得が増えた場合に使えなくなることを考えるとはじめから複式簿記を行って慣れておいた方がよいかと思います。
発生主義と現金主義の違い、および各帳簿については仕訳の基礎のページをご確認ください。
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