「個人事業」とは法人を設立せずに個人で事業を行うことをいい、「自営業」ともいいます。
事業主一人のみ、家族のみ、または少数の従業員を雇っての小規模経営が一般的ですが、特に従業員人数や収入金額に制限があるわけではありませんので個人事業で大規模な経営を行うことも可能です。
先に「法人を設立せずに」を記載しましたが、法人とは、法によって一定の権利能力が認められた集団や財産のことをいいます。
個人よりも認められる権利能力の範囲は狭く、また設立の手続きに費用や時間がかかりますが、その分一般的に社会的信用度が高く、法人でなければ契約がとれないような仕事もあります。
さて、法人には営利法人、非営利法人、公的法人などがありますが、「会社」はこの中の営利法人にあたります。
個人事業と会社との違いは大きく分けて3つありますが、では具体的にどう違うのかみていきましょう。
個人事業 | 会社 | |
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開業時の 届出 | 税務署と都道府県税事務所に開業に関する届出書類を提出するのみ ※自治体によっては市区町村役場への届出も必要な場合がある ※飲食業等、事業内容によっては許認可が必要 登録費用等は不要 | まず公証人役場で定款の認証を受けた後、法務局にて会社設立登記の申請を行う 設立後、税務署と都道府県税事務所、市区町村役場への書類の提出(書類の数も多くて煩雑) またすべての会社には社会保険の加入が義務づけられているため、社会保険事務所への届け出も必要 代表社印・銀行印・社印の最低3つのハンコを用意しなければならない 費用は登録免許税・定款認証手数料・印紙税などで少なくとも25万円程度必要 |
社会的 信用度 | 事業内容によっては法人(会社)でないと契約してもらえない場合もある 事業の法的責任は個人(事業主)が負うことになる | 一般に社会的信用度が高い 事業とプライベートが明確に区別される |
税金・経理 の負担 | 会計処理が会社と比べて簡単 確定申告時に必要な書類も会計ソフトを使って簡単に作成することができる | 会計処理が複雑で手間がかかる 確定申告時に必要な書類の数も多く、専門的な知識がないと難しい 儲けが大きい時に節税できて有利になることが多い |
最も大きな違いは開業時の届出でしょうか。会社の場合は設立手続きのために様々な書類の他、少なくとも25万円程度の費用が必要なのに対し、個人事業は簡単な書類を提出するだけで開業することができます。
最初に個人事業で始めてあとから法人化することも可能ですし、またその逆も可能です。
儲けが少ないうちは社会的信用度以外のメリットが会社にはほとんどありませんので、社会的信用度がどうしても必要な場合でなければ、まずは個人事業でのスタートをおすすめします。
多くの会社では会社規定で副業を禁止されているかと思いますので、個人事業を始めるということは勤めている会社を辞める、という方が多いでしょう。
儲けがそのまま自分の資産になるということは、儲けが出なければ経費だけがかさみ家計をも圧迫する恐れがありますので、養う家族がいる場合には失敗したときのリスクも考えて開業するかどうか検討する必要があります。
もし、既に事業収入があって白色申告で確定申告している場合はぜひ開業届(と、青色申告の申請書)を出すことをおすすめします。
青色申告を行うことで様々な節税効果のある特典を受けることができます。
青色申告の特典について、詳しくは青色申告と白色申告のページをご確認ください。